2019年7月30日火曜日

アナーキストの銀行家(本の感想)

彩流社が出版しているアナーキストの銀行家(O BANQUEIRO NAQUISTA)は、ポルトガルの作家であるフェルナンド・ペソア(Fernando Pessoa / 正しいポルトガル語の発音としては、フェルナンド・ペッソアだと思う)による作品。自分がポルトガル語を勉強していなければ、まず知ることはない作家だったと思うが、やはり日本語で読んだ方が楽なので、図書館で見かけたものを借りてきた。ポルトガルの文化を紹介する雑誌では時々その名前を見かけるが、結構マイナーな作品の訳本をこうして手にできるのは嬉しい。




いくつかある短編も面白かったが、やはりメインのアナーキストの銀行家が一番感じるものがあった。資本主義の有力プレーヤーと思われる銀行家と、アナーキストが両立するものかとタイトルで思ったが、社会で最も重要と思われる金を稼ぐことで、その支配から自由になり、少なくとも自分一人はその支配から自由になることをアナーキズムと呼んでいることには驚かされた。文中にあった、「金を稼げば稼ぐほど、ますますその力から解放されて自由になる」という言葉が、今の世でも当てはまるのは少し不思議な感覚だった。

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